テンペラ画について

 

テンペラ画というのは、油彩画が発明されるまで西洋画の主流を占めていた技法です。

テンペラ画の絵具は顔料をおもに卵で練ったもの。

特徴として水で画くことができ、乾きが早く、発色がよいこと、

油絵との併用ができることなどが挙げられます。

比較的簡単に絵具が作れるので手作りの面白さが味わえますし、

透明水彩画のような描き方から、重々しい古典絵画まで幅広い表現が楽しめます。

 

絵具の作り方として最も簡単なのは、卵の黄身と顔料を混ぜ合わせるだけ、というもの。

ただこの方法は、シンプルなだけに絵具に若干のもろさが出ますので、

卵にダンマル樹脂とスタンドオイルを加えたメデュームと顔料を混ぜて絵具を作る

「樹脂テンペラ」という技法を使えば、より堅牢なテンペラ画を画くことができます。

しかしこの技法も、メデュームの中の油分が多いので水に溶けにくく、

技術面で難しいと言えるかもしれません。

そこでこの絵画教室では、卵黄に油だけでなく、膠、小麦粉

などを練りこんでメデュームを作る「練りこみテンペラ」という技法を学びます。

このメデュームは、作るのに多少の手間と時間がかかりますが、

顔料と混ざりやすく、水によくなじみ、非常に堅牢な画面を作ることができます。

 

またこの教室では、テンペラ画をその上に描いてゆく「支持体」も作ります。

テンペラ絵具は水性ですから、木や紙、布などの吸収性の支持体を使ったほうがよいので、

市販のパネルに布を張り、下地塗りを施します。

 

テンペラ絵具は油絵具に比べると修正がききにくいので、

最初からしっかりと下絵を描いておいて

それを正確に支持体に写し取り、その形に従って絵具を丹念に塗り重ねるという

プロセスで進めるのが一般的です。

さらにテンペラ画では、油絵のようにぼかしがきかせにくいので、

形態に伴う微妙な明暗の変化を表現するために、

ハッチングという独特の技法を使います。

これは細い線を何本も何本も重ねていきながら、その密度差によって

形のボリューム感や表情を出す伝統的な方法です。

慣れるまでは難しいところもありますが、

一本一本の線を、息をつめて描き重ねていくなかに、

他では味わえない濃密な時間の流れを感じ取ることができると思います。

 

この絵画教室では

下地作りから、メデューム作りをへて、1枚のオリジナルの

テンペラ作品を創り上げるお手伝いをしていきます。

 

メデュームの作り方

支持体の作り方(パネル布貼り)

制作手順