練りこみテンペラ絵具の作り方

 

冷蔵庫に保存してあるメデュームを取り出して、ビーカーなどに適当な量を移します。このままの状態では使えないので、湯煎して液体に戻さなくてはいけません。

別の容器に熱湯を入れ、そこにメデュームの入ったビーカーを浸し、メデュームを撹拌すると液体に戻ります。

パレットに顔料を必要な量だけ出します。顔料は市販されています。油絵用のピグメントか、日本画用の水干絵具が使いやすいでしょう。

水を適量加えてペインティングナイフでよく練ります。

液体状のメデュームを顔料と同量程度加えます。

ペインティングナイフでしっかりと練ります。これで練りこみテンペラ絵具が出来上がりました。必要な色は、一色一色このように作ってください。混色するときは絵具の状態で混ぜるように。顔料のまま混ぜないで下さい。

 

テンペラ画の描き進め方

 

左は、ヤン・ブリューゲル作 「陶土の花瓶に生けられた花束」 という作品の画像です。この作品をテンペラ画で模写していきます。

テンペラ画の画面(ここではF6号大)と同じ大きさのデッサンを作ります。原作と同じ比率で、克明に形を描いてください。デッサンがそのままテンペラ画の画面に転写されますので、この最初の段階が大切です。

デッサンの手間を省きたい場合は、原作の写真を画面の大きさでコピーしてください。

画面にはあらかじめ色(ここでは茶色)をつけておきます。デッサン(またはコピーしたもの)をそこに転写します。それから花びらや葉っぱひとつひとつをチタニウムホワイトのテンペラ絵具でハッチングしていきます。この工程が最も大切ですので、じっくりと時間をかけて描いていきましょう。バックには黒に近い色を塗りました。

ハッチングがひととおり終わったら、絵具が乾くのを待って(出来れば1日置きたい)固有色を重ねていきます。下のハッチングが透けて見えるように、水の量を調節しながら水彩画のように塗っていきます。絵具をあまり混ぜないで、鮮やかな色から塗っていき、順次色を重ねていきます。このとき下の色が乾かないうちに次の色を重ねないように気をつけましょう。

テンペラ画の場合、ハッチングと彩色を繰り返していきます。その工程をどれだけ繰り返すかはいちがいに言えませんが、色彩の深みを出すために、2〜3回は行いましょう。ハッチングは基本的には白で進めていきますが、完成に近い段階では、他の色を混ぜてグレイを作り、ヴァルールの破綻をきたさないようにします。

モチーフとバックとの関係は大切です。この作品では、バックが非常に暗いので、そこから浮き出てくる形と、沈んでいく形を丹念に描き分けていきましょう。単に黒を塗るのではなく、いくつかの色を混ぜ合わせて黒に近い色を作り、それを何層にも塗り重ねていきます。仕上がった後、何日かたってからニスを塗ると、油彩画のような重厚な画面になります。