●制作プロセス 鉛筆・静物デッサン 「牛骨・地球儀 etc」
素材−鉛筆  用紙−木炭紙判画用紙  制作時間−7時間
130分経過

用紙へのモチーフの納め方は、用紙と同比率の枠を作り、それを
窓(画面)にして上下左右前後に動かして見ると検討しやすい。
その際、単なる物の納まりだけでなく明度差の配分、物の軸の指
し示す方向、主となる物の画面内での位置、台や背景あるいは壁
とモチーフとの面積比なども考える。厳密には、画面周辺でモチーフ
をいかに切るか、あるいは入れるかの詰めが必要でしょう。台上
に置かれたモチーフは事実として眼の前にあるが、それを一枚の絵
として美しい世界を造り出す主導権は作者側にあります。従って、
作者が何を感じ、どんな世界を構想するかによって納め方も変化する。

2 1.5時間経過

先端の細い鉛筆で画用紙にどのような線を引けばよいのか、初心
者は少し戸惑うかもしれません。描きはじめはのびのびと大きな
単位を薄い線で描き進めるとよいでしょう。全体に下描きが及んだ
時点で物の形と位置の再確認をし、誤差はできるだけ小さくして
おくことが大事です。具体的な描き進め方として、固有色の差や
明暗の度合いを全体のバランスから推量し、使用する鉛筆の硬さ
を決め、物の面に沿って線を引くというのも一つの方法でしょう。
但し、作者が意図した世界を、相互に響き合うタッチを意識的に
集積させて造るのであって、描き方は、人によって異なります。

3 3時間経過

写真のピントは被写体の一点に合わせる。ところで絵の場合は、
画面内の複数の点にピントを合わせる。絵はカメラのように瞬間
的に機械が眼前の物を捉えるのとは異なり、人が瞬時にそして
継続的に視線をあちこち向かわせて把握した内容を、長時間か
けて表現した物です。台上に牛骨がある、その奥に地球儀があ
る、手前にリンゴが置かれ壁には布が垂れ下がっている、といっ
たように、絵は実際の視覚体験に基づいてそれらに対応させて
造られた世界であり、さらに、人が両眼で見たときに得られるモ
チーフの立体感や距離、空間的ニュアンスをも付与して
造形された世界なのです。。

4 7時間経過 完成   部分拡大表示へ

あらかじめ制作時間を設定したり、タイマーをセットして限られた
時間の中で自分が思い描くプロセスの確認をしてみると、意外
と参考になる。時間内に早く描こうとすることは作業の効率化が
意識されるのはもちろん、その方が仕上がりが美しくなる場合が
多い。さらには、万遍なく冗長な捉え方ではおぼつかないことを
知り、的確な視方を養うことにもなります。序盤の行程では進み
具合が具体的に見えて分かりやすいが、後半は絵としての内容
を密度高くするのに結構時間がかかるということも解ります。

dessin&comment■Kawano

●上記制作過程DVD(約1.5時間.簡易編集.音声無し)を2,200円(送料・消費税込み)でお届けします。
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