●制作プロセス 鉛筆・石膏デッサン 『ゲタ』
素材−鉛筆  用紙−木炭紙判画用紙  制作時間−6時間
1

 誰しも描き始める前に見る。よーく見なさい、と先生に言われる。
でも、最初はどのようによく見るのかが分かりにくい。絵を描くときは、
普段の生活する見かたとはひと味違った視覚を働かす。だから
少し慣れが必要だ。はじめに、遠くから、近くから、背面からも見て、
時には触れたり持ち上げたりして、見ることに実感を与えて
あげること。そうして、形を知り、そして感じることが大切です。
初心者は物の輪郭を順番になぞるように描くことが多いが、像全体
の動きやプロポーションを測りながら、上の例のように面の変わる
ポイントを押さえつつゆったりと描き進めることが大切でしょう。

2

色を白から黒までの明度差に置き換えることは案外と難しい。
そこで石膏の登場となるのだが、なるほど石膏の色は 白1色
に違いないが、明るさは変化している。あっちこっちと"よく見
る"のだが、そして正直に描くのに、結局ちぐはぐな絵になって
しまう。眼を細めてぼんやりと見るのも大きな明度変化をつかむ
ひとつの方法だが、明るい面から暗い面までの推移を立体的に
バランスよく見極めることが大事。鉛筆は硬さが違えば色が違う。
鉛筆の引き方によっても印象が変わる。いろんな工夫をしなが
ら大まかな明暗関係を描き進めていく。その際、気づいた形の
誤りは修正しておきましょう

3

余白(背景を描かない場合)を空間としてイメージし表現する。
このことも簡単なようで、初心者には分かりづらい点かもしれない。
画面上で石膏の立体感が出せると、おのずと余白が空間的に
見えてくるけれど、そのためには空間の中に石膏像が置かれて
いる有様をよく見なければならない。描写に際しては、石膏の
アウトライン近くの調子を、余白との関係を考えてのせるべきでしょう。
中盤のプロセスでは部分と全体のバランスを絶えず計りながら
積極的に描き進めること。眼、鼻、口のほか頭、耳、顎、胸部の
形の要所となる部分を描き込みながら全体的にもタッチを加える。

4

暗い側にも反射光があたり、ほんのりと表面が見て取れる
ことは理解しやすいが、明るい側にこそ実はその物の面の
色・質・位置 がはっきりと現れているのが現実だ。しかし、
明るいところを描けば黒くなってしまうじゃない、という素朴な
疑問がわいてくる。解決策としては、明るいけれど白ではなく、
明るい具体的な面があるとして見ること。どこまで描けば完成
かは、作者の見て知った内容と感動の深さに左右されるけれど、
実際はそれを描写する現時点の能力を確認するところまで描いて、
次の制作へのステップとしたい。

dessin&comment■Kawano

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